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100年の時を越えて海底に眠るプラットホーム
神奈川・西湘 根府川ねぶかわ

100年の時を越えて海底に眠るプラットホーム 根府川

都心から約90分、根府川は湘南の西、“西湘”にあるダイビングエリアで、JR東海道本線・根府川駅のお膝元。1923年に起きた関東大震災で駅のホームが海底に沈んでいることから100年後の2023年、多くのメディアにも登場しています。海中に眠る遺構を実際に見られる、貴重な海をその目で確かめてください。

※2024年4月現在の情報です。

根府川はどこにある?

根府川はどこにある?

根府川ってどこ?と思われる方も少なくないかもしれません。根府川は神奈川県の最西部沿岸、JR東海道本線小田原駅と真鶴駅のほぼ中央にあります。小田原市周辺のエリアは湘南の西側にあるため「西湘(せいしょう)」とも呼ばれています。都心から車で約90分、電車なら約1時間で行ける“近くて通いやすい海”なのです。
最寄り駅の根府川駅は、相模湾の絶景がホームから見え、背側にはミカン畑が広がることから「関東の駅百選」に認定されています。東側を向いているので、日の出ウオッチングにも最高です。

消えた1番線ホーム

根府川駅のホームの東側には相模湾の青い海が広がる

根府川駅のホームの東側には相模湾の青い海が広がる

1923年9月1日に起きた関東大震災で、地すべり・土石流により旧熱海線の根府川駅の施設、列車および集落の家屋などが海中に流され、鉄道関係の従事者を含む住民も死亡・行方不明になりました。非常に大きな災害として後の世に記憶されています。
そんな根府川で唯一のダイビングサービスが《根府川ダイビングサービス》。代表の高橋監二さんは
「関東大震災の震源地であった根府川地区では、大きながけ崩れが起きました。当時崖の中腹にあった根府川駅のプラットホームは、列車とともに海へ崩れ落ち、姿を消したそうです」と地元の人々に聞いた話を教えてくれました。
列車などはその後の鉄品回収作業によって引き揚げられましたが、1番プラットホームやレールなどは今なお海中でひっそりと眠っています。
現在の根府川駅には2~4番プラットホームはあるのですが、1番プラットホームはありません。震災により失われた、列車の乗員乗客と根府川駅にいた乗客や職員112名もの尊い命を弔うために、当時1番プラットホームがあった辺りに慰霊碑が建てられているからです。

2~4番プラットホーム
慰霊碑

今なお残る貴重な海中遺構

昔のプラットホームは石垣を組んだ上に土嚢を積み、表面や石、レンガなどで覆って角を固めたものが一般的でした。これは石垣の部分。畳状に組まれているのがわかります

昔のプラットホームは石垣を組んだ上に土嚢を積み、表面や石、レンガなどで覆って角を固めたものが一般的でした。これは石垣の部分。畳状に組まれているのがわかります

これは土嚢を覆っていた部分。100年の時を超え今では海藻が付着。生きものたちのすみかになっています

これは土嚢を覆っていた部分。100年の時を超え今では海藻が付着。生きものたちのすみかになっています

これはプラットホームの角。コンクリートなど強度のある素材でできた固いものだったせいか、現在もはっきりと形を残しています

これはプラットホームの角。コンクリートなど強度のある素材でできた固いものだったせいか、現在もはっきりと形を残しています

関東大震災から100年ということで、2023年は根府川の海に眠る旧根府川駅のホームもTV番組などで特集されました。被害に遭われた方々や被災者のご家族にはつらい記憶ですが、今なお各地で起こる大震災に明日は我が身と感じている方も多いでしょう。無関心ではいられません。
実際、2024年1月には「根府川の海中に見られる遺構を考古学の視点で調査・分析することで、災害の実態に迫ることができるとともに、成果をアウトプット・アウトリーチすることで、防災・減災への警鐘・教育へ繋げること」が期待できるのではないかと、東京海洋大学非常勤講師の林原利明さんらも提唱しています。

林原さんによると
・旧根府川駅関連の可能性が高い遺構群は、現駅との比高差が約40m
・遺構群は、海底の広範囲に分布
・各遺構は大型のものが多く、コンクリート造り、石積み造りのものを確認
・部材等と考えられる金属製遺物も確認
・大型の遺構の多くは、海没当時の状況を保っている可能性(がある)
などと挙げています。100年ものあいだ、水中にあったにもかかわらず、最後の「当時の状況を保っている」という点は注目に値するところでもあります。

沈んだプラットホームは100年という長い年月をかけ、今ではイシダイやキンギョハナダイ、ウミウシの仲間などたくさんの生きものたちのすみかとなっています
(動画提供/根府川ダイビングサービス)

根府川に残る遺構群は、「災害遺跡としての水中文化遺産」としても、非常に貴重であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。この大切な水中文化遺産を見られるのは、私たちダイバーであり、これからも長く残していくために守っていくのも私たちダイバーです。ぜひ皆さんもご自身の目で、貴重な根府川の水中遺構を見に行ってはいかがでしょう?

根府川は黒潮の恵みがたっぷり!

1 生きものの宝庫

一年を通してネンブツダイやメジナが群れっ群れ! たくさんのお魚たちに会いに行こう

一年を通してネンブツダイやメジナが群れっ群れ! たくさんのお魚たちに会いに行こう

根府川は相模湾の外洋に面しているため、潮回りがとてもいい海です。魚たちは群れに群れ、海中はお祭り騒ぎ。また、豊かな恵みをもたらす黒潮の分岐流が当たるため、流れに乗ってやってきた生きものたちも多くすみ着いています。

2 魚たちのすみかが点在する魚礁に

魚礁にもたくさんの魚たちが群れる。水温が上がり、透明度もいい夏の時期はダイビングのベストシーズン!

魚礁にもたくさんの魚たちが群れる。水温が上がり、透明度もいい夏の時期はダイビングのベストシーズン!

《根府川ダイビングサービス》の目の前からビーチエントリーすると広がる砂地には、5つの魚礁があり、周り方は自由自在。だから、何度行っても楽しめます。毎週末でも通える距離ですし、バディ単位のセルフダイビングもできるので、たくさん潜ってスキルアップするのにもぴったり!

3 ダイビングデビューにも最適

ビーチからはロープが伸びていて、エントリーもラクチン♪ しっかり捕まって移動しよう

ビーチからはロープが伸びていて、エントリーもラクチン♪ しっかり捕まって移動しよう

根府川の目の前のビーチスポットの最大水深は14m。エントリーして水深5mのラインは、テトラポッドで波が消されていて、体験ダイビングや講習にも最適。どこでダイビングデビューしたらいいかわからない方は、都心からもとっても近い根府川に行ってみよう!

根府川の海で見られる生きものたち

森のように生い茂る海藻の間をのぞいてみましょう。小さな生きものたちと出会えます ! ほんの一部をご紹介♪

アオウミウシ

アオウミウシ
水深が浅いので、じっくり撮影ができます! 毎週末でも練習に通いたい

コケギンポの仲間

コケギンポの仲間
表情豊かな被写体として人気。臆病者ですぐ穴に隠れてしまうので、そーっと近づきましょう

ウミガメの仲間

ウミガメの仲間
たまたま出てきてくれた海のアイドル、ウミガメ♡ なんてポテンシャルの高い海!

カエルアンコウの仲間

カエルアンコウの仲間
両手(ヒレ)で体を支えている様子がなんともかわいい! いろいろな体色の個体がいるので探してみましょう

ダンゴウオ

ダンゴウオ
寒い時期になるとダンゴウオの姿も見られます。ぷくっとした体に、つぶらな瞳がたまらないっ!

スナビクニン

スナビクニン
こちらも寒い時期限定。オタマジャクシのような姿をしていて、縞々模様や網目模様などさまざまなバリエーションがあります

根府川ダイビングサービス情報

根府川で潜るには唯一の現地サービス《根府川ダイビングサービス》を利用することになります。

根府川ダイビングサービス

〒250-0024 神奈川県小田原市根府川161
TEL.0465-42-9246
E-mail: nebukawa.ds@gmail.com

エントリーポイントまであっという間! 海が目の前に広がる《根府川ダイビングサービス》Photo by Marine Photo Library

エントリーポイントまであっという間! 海が目の前に広がる《根府川ダイビングサービス》
Photo by Marine Photo Library

スオーナーで海のガイドもしてくれる高橋監二さん。「かんちゃん」「かんじさん」とファーストネームで呼ばれることの多い、ナイスガイ

オーナーで海のガイドもしてくれる高橋監二さん。「かんちゃん」「かんじさん」とファーストネームで呼ばれることの多い、ナイスガイ
Photo by Marine Photo Library

根府川唯一のダイビングサービス。JR東海道本線根府川駅から車で約6分、徒歩でも11分とアクセスも抜群。しかも店舗は雄大な相模湾を一望できる絶好のロケーション。オートキャンプ・バーベキュー施設「なみのこ村」の一番奥にあり、車は目の前まで行けるのでダイビング器材運びもラクチン♪
写真でもわかるように、目の前からビーチエントリーできるのも魅力。家を出たらあっという間に着いて海に潜っている感覚に驚くかも♪ ダイビングサービスは手づくり感たっぷりですが、必要なものはなんでもそろっていて、スーツのまま入れるお風呂もあるからとっても快適です。

《根府川ダイビングサービス》のホームページ